厚田沖転覆 一管の連絡遅れる 道警要請まで46分  2003/03/18 08:00

 石狩管内厚田村の厚田漁港沖で十六日プレジャーボート転覆し、二人が死亡、一人が重体となった事故で、118番通報(海難緊急電話)を受けた一管本部が、実際に救助した道警と道のヘリコプターに出動要請をするまで最大四十六分かかったことが十七日、北海道新聞社の調べで分かった。亡くなった札幌市北区、会社社長猪子純一さん(54)は海に投げ出された後も携帯電話で約五十分間、同本部と交信しており、発生と同時に通報があれば助かった可能性もあり、一管本部の対応に疑問の声が上がっている。

 関係者によると、一管本部が猪子さんから救助要請を受けたのは十六日午前十一時二分。同本部から丘珠空港にある道防災消防課防災航空室に「三人が遭難している。捜索お願いします」との一報が入ったのは三十三分後の同三十五分。道警への連絡はさらに遅い同四十八分で、一管本部が遭難事故を認知してから四十六分、道への連絡から十三分もたってから。

 道警は通報を受けて二分後の午前十一時五十分、捜索のためにまず一機を、続いて救難準備を整えた救助隊員二人を乗せた別のヘリをその十五分後に離陸させ、午後零時三十七分に三人を発見。同五十五分から約十分の間に道警ヘリが二人、道防災ヘリが一人を救助、札医大に搬送した。

 一管本部が救助要請を受けてから発見まで結果として一時間三十五分かかったが、道警が通報を受けてからは約五十分後だった。道警は「連絡が三十分早ければ、その分早く対応できた。救出も早まったはず」としている。

 一管本部によると、水温五度の海に投げ出された場合の死亡率は、三十分後で約五○%、二時間後では約九○%。事故当時の水温は三・五度。救命率を上げるためには、一刻でも早い救出が必要という。

 今回の対応について一管本部は、118番通報を受け、現場に近い厚田漁協の組合員でつくる厚田救難所に出動要請。しけで断念した後、道に連絡したとした上で「結果論として連絡が遅いという批判は甘んじて受ける。当時は最良の選択をした。判断ミスとは思っていない」と話している。

以上 道心WEBニュース


新聞に 時間軸の事実が書かれていました。

経過時間 時刻 厚田沖プレジャーボート事故の経緯
11:02 一管本部が猪子さんから携帯電話による118番通報受理
23分 11:25 巡視船「しれとこ」が後志管内泊村 出航
33分 11:35 一管本部が道防災航空室に連絡
40分 11:42 巡視艇「やぐるま」が小樽を出航
46分 11:48 一管本部が道警に110番通報
47分 11:49 猪子さんからの連絡が途絶える。
48分 11:50 道警ヘリ「だいせつ1」 が丘珠離陸
57分 11:59 道防災航空室のヘリ「はまなす2」が丘珠離陸
58分 12:00 「だいせつ1」が現場到着、捜索開始
1時間3分 12:05 道警ヘリ「だいせつ3」が丘珠離陸
1時間8分 12:10 「はまなす2」が現場到着、捜索開始
1時間13分 12:15 「だいせつ3」が現場到着、捜索開始
1時間35分 12:37 「だいせつ3」が遭難者3人発見
1時間53分
-2時間4分
12:55
-13:06
「だいせつ3」 「はまなす2」 が遭難者3人を収容

はまなす2